難破船の甲板でオレは寝言を言う

一回目の人生は強制終了させました。もう40代後半にも入ろうとしてるのに。

セールス、テレアポ、新規開拓の本質その4

今回で、現在続けている「セールスの本質」のエントリーの最終章にしようと思う。

もちろん、以前触れたように、補足や補強が必要な部分は折を見てTIPSとしてエントリーを書こうと思っているのでその点ご了承願いたい。

 

 

今回はさっそく本題から入る。

 

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トップ営業マンになるには何が必要か。今までのエントリーで3つ挙げた。

 

①「相手(お客さん)の言動や行動の本質を聞き取る、嗅ぎ分ける能力」

②「自分を客観的に見つめ、知ること」

③「一番大事なことを最初に伝える」

 

である。この3つにプラス、最後にもう1つ付け足そうと思う。それが今回のエントリーの主旨になる。それは以下の通りだ。

 

 

④「『空→雨→傘』を回しながらセールストークを何度も組み直せる力」

 

これである。

 

 

 

『空→雨→傘』をご存知だろうか。問題解決のフレームワークとして有名なものである。以下のリンクがわかりやすいので、ご存知でない方は目を通していただければと思う。

 

「空・雨・傘」の思考パターンで問題解決力を高める

 

俗に言う「勘がいい」とは、この空・雨・傘の展開力に優れていることをいいます。また、この3つのうち、どこが抜けても問題解決のプロセスは成立しません。「空」が抜けた場合は事実に基づかない、あてにならない解釈となります。「雨」が抜けると、事実と判断の間のつながりが見えず、周囲に分かりにくい印象を与えるばかりか、解釈の部分の客観性に乏しいので判断が間違ったまま進むリスクもあります。「傘」が抜けると、「で、結局何をすれば」という疑問が残り、具体的な行動につながりません。

 

引用;「空・雨・傘」の思考パターンで問題解決力を高める

出典;PHPオンライン周知 

 

 

一言で言うなら、「事実に基づいた思考展開力」だ。

 

 

実はセールス(営業)・テレアポはある程度ルーティンが組める。要は「型」があるのだ。

 

お客さんとなる人のキャラクターは千差万別だが、商談に対してのレスポンスと意思決定プロセスに関して言えばわりと定型化してることに気づいてる人も多いと思う。

 

ざっくり言うと、断り文句も数パターンだし、承諾パターンも数種類、登場人物(多くが邪魔をする)も多い場面もさほどない(人数パターンは限られる)、場面も何パターンか、ではないだろうか。違うのは、その時のタイミング的なもの、お客さんの置かれてる状況ぐらいではないかと思う。

 

 

逆に言うと、ルーティンが組めるのだから事前準備ができるということ。

 

それが営業・テレアポでいうところの、トークスクリプトである。

 

つまり、ただ単に伝えるべき内容を時系列上に並べたものだけをトークスクリプトと捉えると非常にもったいない。商談そのものであり、クロージングそのものなのだから。

 

 

今回はこのトークスクリプトの作り方のエッセンスについて書く。

 

 

 

 

トークスクリプト作りでまず気をつけるべきポイントは3つある(これは枝の部分と思ってほしい、森の部分はこの後に述べる)。

 

  1. 柔軟性をもっていること
  2. 一切の無駄を削ぐこと
  3. 小学生が読んでも理解できるよう、噛み砕いた表現を用いること

 

この図を覚えてもらっているだろうか?

 

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セールス、テレアポ、新規開拓の本質その1で紹介した、セールストークの概念図である。

 

トークスクリプトは、この図でいうところの「必ず話さなくてはならないこと」にあたる。

 

ただ、電話でのトークでも営業現場でのトークでも、定規で測ったような流れでは進まないのは皆さん経験済みだろう。相手の反応や質問や断りなどパターンはあるとは言え、最適な受け言葉や話のつなぎ方や比重(伝わらなければ何度も繰り返し話すことはよくある)は多少は変わる。また、相手によって刺さる表現、刺さらない表現などもある。

 

つまり、この図で言うところのピンクで囲った「必ず話さなくてはならないこと」の総面積(要素)は変わらないが、形は都度変化すると思っていただきたい。下の図のようなイメージである。

 

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話さなければならないことを柔軟な状態にしておくこと、これが重要である。

 

ただし、同時に一切の無駄を削いでいかなければならない。営業する側からすれば、話す言葉すべてが必要に思えるものだが(そう思えなければ、あなたは売るためのトークがまだ未完成のはず、もう一度本当に必要なものは何かを考え直す機会を持たれた方が良いと思う)、聞く方からすると聞きたい情報はその中の数分の一かもしれないし、その数分の一の詳細を時間をかけて聞きたいのかもしれない。

 

多くの情報をお客さんに提供すること=売れるとは限らない。少ない方が効く場合もあれば(足りない分のトークはお客さんの頭の中の想像力で勝手に埋めてくれたりする)、余計な情報を与えることによって逆にクロージングできなくなることだってある。

 

 

本当に大事な内容は何か。お客さんにとっての価値は何か。

 

営業トークテレアポトークをひたすら書けるだけ書き出して、そこから削っていき、もう削れないというところまで削りまくって、エッセンスの中のエッセンスを突き止めるのだ。最終的には2~3行(数十字)で収まるような分量になるはずだ。昔、国語のテストで出てきた「筆者の一番いいたいこと(=要旨)」である。

 

 

その最終作品が、前回のエントリーで書いた「練りに練ったヘッダー」になる。その一、二文はあなたのUSPになり、お客さんから見てよだれが出そうになるぐらいの魅力的なオファーになっていなければならない。そうなるためには商品自体を色々な角度で見つめ直す必要があるし、場合によっては自分自身で作り上げる必要が生まれる場合もある。

 

 

それを誰にでもわかる言葉で相手に語りかけよう。間違っても小難しい専門用語を使ってはダメだ。なぜなら、小難しい用語を使うことによって相手はその言葉の意味に必要以上に気を取られたり、逆になんやようわからんからええわ、と中身を見ようとしてくれなくなる可能性を生んでしまうからだ。話す相手の理解力には当然ながら差がある。さらに見知らぬ人からの電話だ、聞いててもそもそもがよくわからない状態なのだ。わかりやすい部分だって相手はバイアスがかかって聞いてると思った方がよい。これ以上話をわからなくしてどうする、って話(意外にそういう人は多いから改めて書いている)。

 

専門用語を電話や初対面で使っていいのは、相手の職種に馴染みがあるワードで、かつ相手から使ってきた場合だけだ。

 

 

余談だが、私は意図的に業界用語を使う時がある、それは新規の業界を攻める時だ。トークを練る段階で下調べをする際に、相手の企業のHPを読み込んだ時に発見する、その会社特有のキーワード、それをさりげなくスクリプトに落とし込んだりする。そうすることによって、相手の反応が良くなることがままあるからである。「この人はわかった上で電話をかけてきている」と思わせることができる。

 

 

繰り返す。気をつけるべきポイントは3つ。

  1. 柔軟性をもっていること
  2. 一切の無駄を削ぐこと
  3. 小学生が読んでも理解できるよう、噛み砕いた表現を用いること

 

 

以上3つを気をつけた上で、作り方を書く。

 

手順は以下の通りだ。

 

  • セールストークテレアポトークを一旦全部書き出す、実際の音声を文字起こししてもよい。クロージングまで一字一句書き出してみる
  • 書き出した内容をいくつかのパラグラフ(段落)に分ける。内容毎に分ける感じ。
  • それぞれ分けたパラグラフの主旨(おおまかな要旨、テーマ)を脇に書き、流れを自分自身で把握する。
  • それぞれ分けたパラグラフの内容を吟味する。内容に過不足はないか、読み上げてみてリズミカルかどうか、組み立てに無理がないか、内容自体がわかりやすいか、「伝わる」ように文章ができているか、など。
  • パラグラフの内容を他の表現や例示で言い換えることができるかどうかも脇に書いておく(これは実際のスクリプトに入れなくてもよい)
  • それぞれ分けたパラグラフの順番が入れ替わっても、クロージングまで持っていけるよう柔軟な流れにする。
  • 再度校正する。
  • 実際できたこのスクリプトを使って、お客さんとトークしてみる。
  • ここからはPDCA、毎日毎回改善していく。改善ポイントは書き出す、スクリプトに書き入れるなど。

 

 

ここで当エントリーの主題である、「空→雨→傘」の話になる。

 

冒頭でも申し上げた通り、「空→雨→傘」は「事実に基づいた思考展開力」を指すフレームワークのことである。

 

 

トークスクリプトの作成においては、「空→雨→傘」フレームワークを2つの軸をもって当てはめて考えていく。

 

 

その2つの軸とは、

  • スクリプト単体のベーシックな流れの中での「空→雨→傘」

  • スクリプトに対する商談相手のリアクションを想定しての「空→雨→傘」

 

の2つだ。

 

 

ベーシックな流れで話が進められたと仮定して、まず最初の10秒でヘッダー部分(最初のオファー)を伝え、次の1,2分間のプレゼンが許可され、まずどのパラグラフを話すか、それを聞いてもらえたら次にどのパラグラフを話せば流れ的に相手に響きやすい(同意を得やすい)か、少し話した後に相手の頭に浮かぶであろうことを想像し、こちらが一方的に話し続けているイメージを抱かせないために質問をさせる、もしくは「今こう思われてると思うんですが・・何故かと言うと、、」というような誘導(トークペースの主導権)をさりげなくする、など、こちらが話している内容(事実)をどう自然に展開していくかを考えるのである。つまり、ベーシックな流れ、見本スクリプトでは一方的な絵を描くのだ。

 

もちろん、相手には色んな人がいる。同じように聞いてくれるとは限らないが、何十件何百件とアプローチしていくうちに、おおよそ流れ通りに聞いてくれるタイプの人がそこそこいることに気づくだろう、それがあなたの得意な客層だ。

 

ベーシックな流れの見本スクリプトはその得意な層に向けて話す形で作る。得意な層を想定して、その層の人にとってどのような話し方、内容、流れが自然でかつ魅力的かを論理的に組んでいく、そのためのフレームワークとして「空→雨→傘」を常に頭に置いて考えてみてほしい。

 

 

 

逆に、後者の【スクリプトに対する商談相手のリアクションを想定しての「空→雨→傘」】は、イレギュラーな相手や不得意な層を想定することと言える。あらゆる断り文句や流れをぶった斬ろうとしてくる台詞、邪魔が入る想定(言葉とは限らない)、揚げ足取り、困った質問や答えづらい質問、無反応な相手、など今まで遭遇したことのあるお客さんを思い出して、あの時こうすればよかったかな、というような対策をしていく。また、いい線までいったけど取り切れなかったというようなケースも思い出してほしい。なにが足りなかったのか、足りすぎたのか(意外と足りすぎることは多い、話しすぎることでダメになるケースが多いことを初心者の人には知ってほしい。いずれTIPSとして別のエントリーで書こうと思う)。

 

同時に、なぜそういう相手はそういう反応をするのかを想像してみてほしい。できれば事実ベースで。相手は人間なので、ちょっとした機嫌でリアクションが変わったりもする。ただ、その機嫌の原因がアプローチする時間帯だったり、時期であったりということも可能性としては十分にある。そういう時にこそ、「空→雨→傘」フレームワークを思い浮かべてほしい。断りたいから断るとは限らない、別の理由がある可能性も多いにあるのだ。論理的に考えていくことが活路を見出すきっかけになると私は思う。

 

何度も何度も、色んな想定をしながら絵を描いてほしい。

 

 

 

 

 お気づきだろうか。

 

当エントリーの前半部分にも書いたことだが、やったことある人ならなおさらわかっていただけることだと思うが、テレアポや無差別アプローチの新規開拓営業はルーティンワークだ。

だが、ただのルーティンワークではない。アプローチする動作や作業はルーティンだが、その中身は試行錯誤と改善の繰り返しなのである(真剣に仕事している人であれば、どんな仕事にも言えることだが)。

 

 

その試行錯誤と改善の繰り返しの本質は、コミュニケーションとは何かを考えることであり、今回書いたスクリプト作成で言うなら、実際の商談の想定問答であり、データ収集であり、商品の売り方を考え直す作業なのである。営業そのものであり、終わりのない活動なのである。

 

 

 トップクラスの成績を上げるために、④「『空→雨→傘』を回しながらセールストークを何度も組み直せる力」を身につけてほしい。

 

 

 

 

四回に渡って、セールスの本質について書いてきた。

自分が実際使って成果を出してきたノウハウを隠すことなく書いたつもりである。だが、細部に詰まっている小さいノウハウについては触れていない部分もある(分量的に多すぎるので)。ゆえに、少しわかりにくいところもあったかもしれない。今後たまにTIPSとしてそういう部分はエントリーとして書いていくつもりだ。

 

 

 

 

長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

次回からはまた就活についてのレポを書いていこうと思います。