難破船の甲板でオレは寝言を言う

一回目の人生は強制終了させました。もう40代後半にも入ろうとしてるのに。

【後編】元アウトサイダー40代が挑む、最初の派遣登録会

正月明け早々のちょうど真昼、私は都心ど真ん中にある派遣会社(ア◯◯ス株式会社)の受付の待合スペースにいた。

 

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大きくはないけれども、小綺麗でクッションの効いたカーペットにパーティション、イマドキの会社にありがちな仰々しい感じの社名プレート。

 

 

 

 

「儲かってるんだろうなぁ・・・」

 

そんなことを思いながら呼ばれるのを待つ。私が待ってる間に2人ほど私と同じ志望者なんだろう、受付にある電話で名乗り私の近くに座っていった。

 

5分ほど待つと、係の女性が現れ我々3人はとある部屋に案内してくれた。広めの会議室っぽいところ。そこに説明会であるような長机と椅子が綺麗に並べられて、順番に座るように指示される。ここの登録は説明会形式なんだな。

 

かったるいが簡単な映像とほどよくまとめられた資料で手短に説明があり、割と要領よく会が進んでいった。

 

 

 

その会社が持ってる案件が多い業界、就業にあたっての注意点、給料日のこと等必要最低限の説明と、面談資料(職歴や保有スキル、資格など)の記入、そして最後にタイピングスキルチェック。

 

このタイピングテストは、内容の多少の違いはあれどその後訪問した派遣会社のほとんどで実施されていた。私はタイピングは早い方なので(ブラインドタッチ)、問題なし。

 

タイピングテストが終わった者から個別面談。私は一番に個別スペースに赴いた。

 

 

 

「さあ、ゲームの始まりだ」

(この台詞は昔話題になった有名なナンパ本「ザ・ゲーム」の決まり文句である笑)

 

 

私の待つスペースに一人の男が入ってきた。志望した会社を担当する営業の人間らしい。年の頃、20代後半ってとこだろうか。学生の頃は人並みに遊んでたけど今は真面目に会社員やってます的な、イマドキ風の好青年といった印象。私よりだいぶ年下であるが特にそれは気にはならない。

 

お互い丁重に挨拶を交わし、早速面談に入る。私は持参しておいた職務経歴書(この会社は持参必須ではなかった)を出し、相手の反応を待つ。

 

経歴書をざっと読むなり、「あぁ・・・私なんかがコメントするのも申し訳ないぐらいご立派な成績を色々残されてますね・・・」と言われるが、これはお世辞だろう。いえいえ・・・と伏目がちに丁重に返答。相手が経歴書に見入ってる間におもむろに私が口を開いた。

 

 

「最後の職歴にある、テレアポの成績の証明、エビデンスありますがご覧になりますか?その時の給与明細の原本、お持ちしてるんですが。」

 

 

「えっ!?」虚をつかれた感じで相手が顔を上げたところで、私はカバンからこれを取り出した。

 

 

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リアルの給与明細である。時給と歩合給と所得税をみればわかるだろう。

 

「え・・・・・・なんですか、これは。。。す、すごいですね・・・」

 

相手は完全に先制パンチを喰らったような表情でそう言った。

 

もちろんこれは、戦力として有用そうに魅せられるかどうかだけを図っての行動であった。相手の表情から察するに、どうやら成功したようだ。

 

 

 

 

 

「わかりました。さっそくいくつか他にも仕事を見繕ってきます、しばしお待ちいただけますか?」

 

相手は数分席を離れ、ある程度用意してたであろう案件を他に2つ持ってきたのだった。

 

 

 

ただ・・・

 

 

そのどれもが希望条件には満たず、かつ今回やりたいと思っていない、ゴリゴリの営業の仕事の案件だ。

 

 

 

 

今回の就活、何をやりたいのかは決まらずにいたのだが、やりたくないことはおおよそ決まっていた。

 

 

それは営業。

 

もう十分やってきたんだ。お腹いっぱいなのである。期間でみれば大したことはないが、その間に個人向け営業は嫌になるほど頑張ったつもりなのだ(だから先の給与明細の額が稼げたんだと思う)。お金のことだけを考えたら、どう考えても営業をするべきなんだろうが、今回は就活の意図が違うのである。

 

ちなみに営業のコツ、というより本質的な部分は後のエントリーで書こうと思う。BtoB(対会社)の営業に関しては私が語れることはないが(未経験)、BtoC(対消費者、個人)についてはそれなりに書けると思う。

 

 

 

それはさておき。

 

そうだよな。この経歴書にエビデンスまで持参したら、そりゃ営業の仕事勧めるよな。当然の流れだし、今回の就活でよくわかったことなのだが、中年の派遣市場では「何を武器にして労働力を提供してくれるのか」しか見られていないのである。

そんな当たり前のことをよくわかっていなかったなんて。ここらへんが元アウトサイダー、世間のことをよくわかってなかった。まずはアピールすることだけを考えて、つまり木を見て森を見ていなかった。我ながらバカであるw

 

 

そもそも、40代の人間が就職・転職活動をするにあたって、一つ強く心に留めておかなければならないことがある。

 

それは、

 

「40代の中でも公募で求職する人間は圧倒的な弱者である」

 

という事実だ。

 

 

通常40代といったら、一番の働き盛りであり、ちゃんと働いてきた人であればそれまでのキャリアで十分、紹介で転職が決まるはずなのだ。その伝手がないということは、それまでの戦力と見做されてもそれは仕方がない、なんらかの「訳あり物件」なんだよね(私も例に漏れず)。

 

 

それを忘れて活動してたらいくら頑張っても納得のいく転職先は決まらないと思う。

 

 

ただ、それは単純に妥協しろという話ではなく、その事実を認め市場ではそう見られてるということを前提に考えて動かなければいけないという話。

 

 私はそれを強くこの登録会の帰り道で思った。

 

 

あー、まだまだこれからだな。

気を引き締め次の対策に入らなくては。

都心のビル群の中で私はそう呟いた。

 

 

 ちなみに結果だが、この面談の終了時、担当者には「遅くても金曜日までには連絡しますから。」と言われたが、連絡が来ることはなかった。連絡するまでもないってことか、、こちらとしたら口にするんだったら最低限それぐらいは守れよ、とは思ったけどねw

 

惨敗で終了。