難破船の甲板でオレは寝言を言う

一回目の人生は強制終了させました。もう40代後半にも入ろうとしてるのに。

○月7日。

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会社の仕組みと登場人物




「さっきの、あれどういうこと?全然わからない!」


隣の席の清里さん(♀)が休憩時間、声を荒げた。研修四日目のことだった。

 

 


三日目までは全体的に割と順調だった。講師は現場のチーフマネージャー、杉本さん。ちょっと癖はあるが基本教え方も親切だし、研修慣れもしている人。内容的にも未経験者にわかりやすいよう、少しずつ少しずつ進めていく、わからないことがあれば随時質問を受け付け、丁重に答えていく。なんの問題もない。

 

 

・・・はずなのだが、清里さんはこう言うのだ。


「わからないのは講師が悪い!誰にでもわかるように教えなければ研修の意味がない!」

 

 


言ってることは間違ってるとも言い切れないが、そもそも講師は常識的な範囲で親切だし、わからないこと詰まりそうなところは質問するように何度も言ってるし(清里さんはその場で質問もしない)、内容的に特別下地が必要だったり理解が難しいものでもない。

 

要は「私がわからないのは講師の杉本さんが悪い!」と言ってるわけだ。

 

これってどうなんだろう。私は思った。これって世間で言われてるところのいわゆる「老害」の考え方なのではないだろうか。自分がわからないものは内容もわからないうちに否定に走る。自分が常に正しい。他人をとかく責める、怒る。

 

 

・・・と、唖然としていた私の目の前に座っている、同じスーパーバイザー候補の藤島さん(♂)が今度はすごい目で清里さんを睨んでいる。


休憩所でそのわけを藤島さんに訊くと、「只野さん、清里さんどう思いますか?あれ、老害ですよね?そもそもこの研修ってお金もらって受けてるわけじゃないですか。それを理解する努力を自分で何もしないうちにわからないからといって講師を責めます?考え方が甘い、お客さんじゃないんだっつーの。」

 

 

藤島さんの言ってることは社会人として正しい。そうだよな、給料出てるんだもんな。ただ全員が試験に合格するわけでもない、理解できなければ置いていかれるだけで連帯責任なわけでもないし、藤島さんもそんなに目くじら立てて怒ることでもないと思うけどね。

 

あぁ、いろいろ世の中の一端がここでも垣間見えるな。。私はそう思った。

 

 

 

まあ、いい。人を責めてもしょうがない。顔を赤くして怒る清里さんの隣にいた私は、休憩時間を使い清里さんにもわかるよう噛み砕いて説明してフォローに走ることにした。怒りっぽくない私は、適任だったかもしれない。


一方で講師の杉本さんには、清里さんがこういう感じになってる模様だ、フォローは自分がします、理解できるようサポートしますんで任せてください、と伝えておいた。どちらかというと性格的に気難しいであろう、杉本さんの顔がほころんだ。


これは実際自分がのちにスーパーバイザーになる、そのための訓練の一環に充分なるし、チーフマネージャーである杉本さんへのアピールでもあった。杉本さんに恩を売っておいたというわけだ。

 

 

私の社内の政治活動はすでに始まっている。

 

 

私は組織で労働をする際、政治活動(言葉は大げさだが)には手を抜かない。与えられた仕事はできるのが当たり前、働くのであれば自分がやりやすい環境を作るまでが仕事と思っている。

給与や待遇を考えないと言ったら嘘になるが、それよりも自分が日々の仕事を進められるように環境を作っておいた方が社内でのストレス防止になる。仕事は組織プレーだから。


できればその準備は最初の方でそれを仕掛けておいた方が負担が小さいし、のちにラクに進められる。今回の清里さん案件は絶好のチャンスだった。

 


ところが、問題児は清里さんだけではなかった。何人もいたのだ。

 


つづく。

○月1日。

○月1日。

 

さあ、今日から一ヶ月の座学研修が始まる。業務知識をみっちり詰め込まれるのだ。
ましてや私の役割はスーパーバイザー。受電オペレーターがわからないこと、困ってることに即座に答えて対応しなければいけないのだ、そのために普通以上にしっかり知識を身につけなくてはならない。

 


ちなみに同期は私の他に6人。

私とあと2人スーパーバイザー候補がいて、残りの4人が受電オペレーター候補である。
それぞれに聞いたところ入社経路はバラバラらしく、私を含めたスーパーバイザー候補3人は全員派遣会社経由、受電オペレーターは派遣1人、直雇用が3人(この入社経路が後々問題になってくる)。

 

 

 


ここで研修を受ける同期についてあらかじめまとめておく。


私(只野) スーパーバイザー候補、派遣会社A社経由にて入社

川上さん(女性) スーパーバイザー候補、派遣会社A社(只野と同じ会社)経由にて入社、一言で言うと明るいオバちゃん。バツイチ子持ちで年齢は私の2つ上。

藤島さん(男性) スーパーバイザー候補、派遣会社B社経由にて入社、一言で言うと怒りっぽい爺さん予備軍のおっさん、根はまとも。妻子持ち、年齢は私の2つ上。

代々木さん(男性) 受電オペレーター候補、派遣会社C社経由にて入社、一言で言うとこどおじ風・超絶コミュ障、だがテレコミュニケーターとしての慣れがあり、ロボットのような働きぶりをする。時にキレて暴走癖あり。年齢不詳だが私より年長らしい。

清里さん(女性) 受電オペレーター候補、受託企業S社の直雇用入社、一言で言うと職歴ブランクありのポンコツなオバちゃん。ただ、実は努力家。旦那子持ちで年齢は私の5歳上。

山下さん(女性) 受電オペレーター候補、受託企業S社の直雇用入社、一言で言うとフランケンシュタインな雰囲気のオバちゃん。大体ぼーっとしている。旦那子持ちで年齢は私の4歳上。

本郷さん(男性) 受電オペレーター候補、受託企業S社の直雇用入社、一言で言うとガイ○チ一歩手前、多分発達障害を持ってると思われる(○○さんの指摘によると)。年齢など詳細不詳、誰とも仲良くならない。

 

 

 

ついでに会社の仕組みに触れておこう。

 

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会社の仕組み



 

上記図のような仕組みとなっており、もちろん問い合わせがあるお客さんに対しては皆クライアントZ社の社員として対応する。

 

 

 

 

どういうコールを取るかは運だ。問い合わせ内容は多種多様、内容の難易度も取る人に関係なく、均等にコールは割り当てられており「お前じゃ話にならないから上司に代われ」など先方からの要望がない限りは、基本取った人がすべてを解決する責任を持つ。OJTや先輩によるモニタリング(問い合わせに対する応答を傍で聴いてチェックすること)は多少あるものの、座学研修後はほぼいきなりデビューとなるのである。

 

 

お客さんからすれば、電話に出た人=すでに教育をしっかり受けた人、プロとして見ているゆえ、この座学研修は手を抜けない。途中も小テストが随時あり、最終的には着台(オペレーターとして電話に出ることを指す)試験が行われ、合格者だけが着台できるシステムになっている。

そしてプラス、私含めた3人のスーパーバイザー候補はさらにその後、つまり約1ヶ月の受信経験の後、スーパーバイザーとして現場の受電オペレーターさん達(もちろん先輩も含む)の挙手対応(質問や対応の時手を挙げること)に当たるのだ。

 

 

 

私は気合を入れて座学研修に挑んだ。

 

 

座学研修は一日8時間拘束のうち一時間昼休憩で、7時間みっちり勉強となる。給料は着台後と同じ、要はお金をいただきながら研修を受けることになるのだ。要は仕事と同じ扱いである。


研修の内容として難易度は高くもなく低くもなく、といったところだろうか。基本中の基本に当たる部分ゆえに理解が難しい内容は少ない。学生の受験勉強と同じで、内容の背後に存在する一定のルールとルールの例外を把握すればおおよそ理解はできるし応用も利くし、ペースも受講者に合わせて進むような感じで、質問も自由に受け付けてくれる。研修環境としては文句なしだ。

唯一、一般的な座学研修と違うところは、教材を持ち帰って復習できないところ。金融系サービスの会社なので特にコンプライアンスが厳しく、内容が他に漏れる可能性があることを避けたいのだろう。これは逆に言えば、家に帰ってまで復習しなくてもよいのだから、無給の残業をしなくても良いということで、授業時間内にすべて理解できればむしろ好都合だし、負担が少ないということ。

 


初日は自己紹介などをほどほどに、コンプライアンス研修を少しやって終わりで助走で終了、二日目から本格的な授業となる。三日目以降から実務的な内容となる予定で、二日目は堅苦しい理屈っぽい部分(クライアントZ社の理念とかそういうやつ)で午後以降うつらうつらしそうになる感じではあったが、無難に全員やり過ごした感があった。それよりも、私としてはこれからの早朝出勤(家を出るのが朝5時台)が心配の種であったが、特にそれは慣れでカバーできそうであった(実際就業中は一度も遅刻しなかった)。

 

まあ、大丈夫そうかな、というのが私の印象。研修もそうだし、同期となる人達も変わった人?もいそうだが、特に深く付き合わなければいいし、問題ないかなといった感じ。

 

三日目以降、実務的な内容に入ってから徐々に同期の異様さに気づくわけだが、、、

 

 

 

つづく。進行が遅くてすみません。

 

気がつけば、あれから1年あまりが経っていた。

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金融系コールセンターのスーパーバイザー。


これが私が1年前、派遣会社を通じて得た職であった。


どういうこと仕事か一言でいうと、とある金融サービスのお客さんからの問い合わせを受ける電話オペレーターのバックアップサポートである。

 

電話問い合わせは24時間受け付けており、相当数のオペレーターがそれを待機している状態で、目安2コール以内で電話を取るよう指示されていた。オペレーターはまず一ヶ月の座学研修で業務知識をみっちり身につけ、千差万別の問い合わせに答える。

 

内容的にはお客さんからの規約についての問い合わせであったり、業者からの連絡、金融サービスを販売している代理店からの要望やそのお客さんへの連絡補足や必要な手配など、多岐多様に渡る諸々。一件の電話を受けてから切るまでおおよそ10分、割と長い電話対応だ。もちろんその中にはクレームもあれば、お礼の電話もある。長いクレームになると半日がかりになるし、ちょっとした連絡であれば1分とかで終わる。


ちなみに、その金融サービスについての私の知識はゼロ、もちろん電話オペレーターの経験も、受信オペレーターのサポート(発信はアドバイス程度のことはしたことがあったが)も未経験であった。


ただ、採用にあたって研修が割と手厚いことから経験は問われないようだった。


時給は1700円。どうだろう、採用時に特殊技能が必要でない派遣の割には、コールセンターの割には、時給水準は悪くなかった(と思う)。

 

 


ちなみに、この仕事は残念ながら幾分か前に不本意ながら体の良い派遣切りに遭ってしまい、今はしていない。


この仕事をやっていた1年余り、様々な問題に遭遇し、解決を図ってきた。


言葉は非常に失礼だが、動物園なんじゃないかと思ってしまうぐらいの職場内トラブルや、不倫を含むドロドロした人間関係、まぁ、本当に色々あった。他のセンター(この辺の事情はおいおい書いていくつもり)から同情を買うぐらいの状態であった。


アウトローあがりの私からみた一般社会、それらを少しずつ記録として残していこうと思う。

 


さあ、何から書いていこうか。

 

 

 

※今は別の仕事をしているので更新は不定期です。なるべくがんばりますが、気長にみていただければと思います。

 

 

怒涛の派遣会社廻り⑦ ~一旦完結~

某県某所、外は小雨。さめざめと雨は降っているが季節は3月、さほど寒くはない。

 

某企業の会社訪問。まずは派遣会社の営業と待ち合わせである。

派遣会社の営業って若い人のイメージだったが、ここの会社の営業は私より年長の人だった。

 

先日一日で三社周った時の最後の三社目が設定してくれた案件である。

 

 

正直、さほど乗り気ではなかった。というのも、他に条件の良い案件が二社ほどあったしまだまだこれから就活を続けるつもりだったからである。仕事の内容はどうだろう、興味がゼロはなかったが、特別気を引くものではなかった。とりあえず受けてみるか、ぐらいの気持ちだった。

ただ一点、いいなと思ったのが勤務時間である。朝が非常に早く、終わるのもその分早い。早起きは大変だが、早朝に出勤するのも終わるのが早いのも精神衛生上良さそうに思えたのだ。

 

 

あとは人。どういう人が働いているのか、選考するのか、雰囲気を見ようと思った。それで良ければ決めてもいいかなとも少し思っていた(最低これぐらいは欲しいという賃金レベルはクリアしてたので)。

 

 

 

ご存知の人も多いと思うが、派遣会社がセッティングする就業先の「会社訪問」は実質の面接である。本来、就業前の応募者との接触は法律上禁止されているが、ほぼ形骸化している部分で暗黙の了解で事前面接は行われている(いやらしい話だが、この「会社訪問」を派遣会社に実質の面接であるかどうかの確認をすると非常に嫌がられて、下手するとクレーマー扱いになるらしい。まったくもって不可思議な話である)。

心の中で思わず、社会の本音と建前...とつぶやきたくなるところである。

 

 

 

それはさておき。

 

 

面談は非常にスムーズに進んだ。こちらの先方に対する印象もよかったし、雰囲気も友好的、先方の私に対する印象も悪くないようだ。比較的きついと言われる業界だったが、聞いてみるときつくないわけではないが同業他社よりは比較的そういう側面は少ないとのこと。うん、悪くないかもしれない。

 

 

ほぼ決まりかな、という感触は得られた。ただ、今後どのような予定かと訊かれた時、第一志望かどうかは何とも言えない、他でほぼ内定が出てる状態だとブラフを入れた。要はもったいぶったのである。採用とは、他が欲しいと思う人を欲しがるものだ(あくまでレベルが同じ同士の争いだとの前提)、というのがずっと心の中にある。これは新卒の就活の時からの学びなのだ。これで要らない、というのならそれはそれで良い、宗教じゃないんだから、と思っている。

 

終わり方も悪くなく、最後のブラフは余計だったかどうか正直自分でも少しモヤっとしたが、帰路に向かいあとは結果を待つだけに。

 

 

 

自宅最寄り駅に着いたと同時ぐらいに、派遣の営業から連絡が来た。

 

 

「先方はぜひ来てほしいとのことです!」

 

 

採用である。結果が出た。とりあえずよかった。

 

 

この時点でまだ二社の結果待ちだったゆえ、即答は避けた。ただ、もうこの時点で3月中旬、4月入社を考えるとそんなに日にちは延ばせないと思い、翌日に正式に返事させてくださいと伝え、電話を切った。

 

 

 

 

どうするか・・・

 

 

ここに決めてしまうか、それか蹴ってこのまま就活続けるか、その晩落ち着いて考えた。

時期の要素も大きい。4月入社の会社か、常時採用してる会社か。もしくは欠員が空いたところの枠狙いか。

 

そもそもやりたい仕事があるわけじゃないしな・・・というのと、採用が出た会社に得に目立った不満があるわけじゃないという、割りと消極的な理由でここに決めることにした。

まずはスタート切らないと何も変わらないし、違うと思ったらいつでもやり直せばいい、職種も一応希望どおりだし、あと調べた限り同業種同職種で給与はほぼ一番高い水準の模様だ、、、とポジティブに変わったあたりで翌日を迎え、就業する旨の連絡を派遣の営業に伝え、一旦私の就活は終わった。

 

 

 

今もここで働いている。もう3ヶ月目、長めの研修が終わり、実際の業務に移り、最近ようやく業務に慣れ始めたところである。

 

 

就活は一旦終わったわけだが、ずっとここに勤めるかどうかはわからない。ステップアップができるのなら転職することもあるかもしれないし、そこはフレキシブルに考えている。環境は自分で作るもの、今の職場でそこに成功したら(ほぼ成功しつつある)ずっと勤める可能性もある。

 

 

ただ、私はもともとは起業家気質が強い。いきなり起業することは今のところ考えられないが、副業しながら準備を整える可能性は高い。ただ、来る日がくるまでは勤めてる会社で全力を尽くすつもりだ。

 

 

 

第二の人生は始まったばかりなのだ。

 

 

 

 

怒涛の派遣会社廻り➅

 

3月半ば。

 

なんせ、生活のためのアルバイトしながらの余裕のない就職活動、いい年齢の自分には割りと体にこたえる。これでも同年代の中ではかなり体力ある方だと思うのだが。職場での気の遣い方がやはり若い時とは違うからか、単純な体の疲れだけではないんだろうけど。

 

まあでも、環境を変えるには必要な努力だ、愚痴言ってる場合ではない。自分のためなのだ。

 

 

さて、かれこれ3月初旬に予約していた派遣会社の説明会、新規開拓分は今日で一旦終わる。心してブラッシュアップした結果を出すよう、頑張る。

 

 

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「腰がね・・・・今日調子が良くなくて、、、申し訳ありません」

 

担当者はそう言うなり、おじいさんかのようにゆっくりと席に腰を下ろす。歳の頃、自分よりちょい下ぐらいだろうか。アラフォー手前ぐらいである。

 

御茶ノ水だか秋葉原だか、その辺にある派遣会社での出来事。

 

新宿とかにある派遣会社よりは少し地味な印象、割りと堅めの会社の模様だ。担当者の印象も悪くはない、割りと好印象。ここは筆記やタイプテストはなく、面談のみ。

 

面談には少し慣れてきた。比較的流暢に受け答え、アピールも勘どころを捕まえて手短にできるようになったように思う。募集案件はNTT系のモバイルサービスを大企業内でサービスするためのヘルプデスクの仕事。話を聞く限り、そういう法人向けのモバイルサービスって普通に生活してるだけだと存在すら知らないものだよなぁとか思ったり。

そういうのが知れるのは就活の面白いところだよね。

 

 

小一時間ぐらいか、スムーズな進行で面談は終わった。

 

 

 

 

 

帰り間際、いつまでに結果連絡がもらえるかを確認、合否いずれにせよ一週間内とのこと。いずれにせよ早めに連絡がほしい、今ほぼ内定が出そうなところがあるので、とフカシを入れて出てきた。これぐらいの図々しさは許されるだろう。どうせ面接官に見る目なんてないのだから。

他人が欲しいと思うものを人は欲しがる、一定のレベルを超えていればの前提の話、採用なんてその程度のことだと思うのだ。

 

 

 

ちなみにこの会社での合否はどうなったか。

不採用だった。

 

なにが良くなかったのかはわからない。というよりおそらく自分よりいい候補者がいた、それだけの話だろう。

いや結果以前にそもそも、どれだけ待っても何の連絡もこなかったのである。約束したのにね。

派遣会社をいくつか周って思ったことが、派遣会社全般、連絡系統がおざなりであること、中小にいけばいくほど管理がずさん、ということである。

 

人と人を繋ぐことで収益を得てるのに、そんなんでいいのかなと今でも思うのだが、それで成り立ってるっていう現実があるんだろうなぁとは思う。歪んだ労働市場、という言葉が頭をよぎる。

 

まあでも、とりあえず今の自分はその中で戦うしかないのだ。自分は自分で現実に生きるしかない。愚痴を吐いても制度や市場を嘆いても、何も始まらないのだから。

 

 

次はP社に設定された、職場訪問だ。まずは結果を出そう。

 

 

 

つづく。

 

 

 

 

 

怒涛の派遣会社廻り⑤

派遣会社三社を一日で周った翌日の会社訪問、ここは以前から予約を入れていた派遣会社だった。ここだけは電話ではっきりと「面接」があると言われた。おそらく派遣会社がクライアントから一任受託されてる職場への派遣なんだろうな、と推測した。

 

 

所在地を確認すると、、前の職場の目の前のビルだった。

 

 

半年前まではここまで毎日通ってたんだよなと思うと少しだけ不思議な気持ちに。前の職場はテレアポの会社で、退職に際しても円満退職というか、他部署への異動のオファーをいただいてたぐらいなので関係は良く、少し寄って行こうかなとも思ったが時期じゃないなと止めておいた。

 

 

 

とりあえず会社訪問、面接?に集中しよう。先方企業に足を踏み入れた。

 

 

今まで足を運んだ会社に比べ、少し落ち着いた雰囲気の入り口。とある商社の孫会社の人材派遣会社である。システム系の会社だからか、少し地味な印象である。

 

ここが出していた当該案件が実は一番待遇が良く、業務内容も面白そうだった。交通費も全額支給。

 

 

話は少し逸れるがツイッターでも書いたが、派遣会社はなんで交通費出さなくなったんだろう。ひと昔前までは交通費支給が普通だったんだよね。直雇用だとバイトでも交通費は支給される中、派遣通すと時給は若干良いものの交通費支給にならない。なんだか搾取されてる感を感じてしまうのは自分だけだろうか。

 

それはさておき。

 

 

 

小さい応接室に通されて、記入用紙を渡された。表面は簡単なプロフィール、裏側はWEBやシステムについての資格やキャリアを記入する欄がぎっしり。んー、システム会社っぽいな。Officeやhtmlやcssぐらいはググりながらであれば使えるが、業務としてやったわけではないから埋められるほどのものはない。ここは正直申告で記入し提出。

回収に来た事務の女性が一度戻ってきて「あの・・裏面(スキル申告の面)はこれで大丈夫ですか?」と確認に来たが、はい、それでいいです、と答えた(今思えば、少し盛った方が良かったように思う)。

 

そのあとにさらにテストらしきもの。

 

このテストがかなり厄介で、「こういう場面であなたはこういう立場にいます。次の4つのうちあなたはどういう対応を採りますか?」みたいな設問が100問近くあった。

性格性向を知るためのテストなんだろう。設問に正解がなく、どれもが正解のため、頭を使った。といってもこれだけ設問が多いと人格を作っても無駄であるし、そもそも作る必要もないので、募集職種である役職(リーダー職)沿って、同じようなポジションにいた頃の自分を思い出しながら回答していった。

 

 

 

 

 

テスト後、ほどなくして中年の男性が二人、ブースに入室。面接官らしい。名札をみせながら挨拶、私も立ち上がって礼。面接の始まりである。

 

 

この面接は以前書いた外資系の会社の面接の次に長かった。

職務経歴書とプロフィール用紙に沿って経歴など細かく訊かれ、その時考えていたことを訊かれ、割りと根掘り葉掘り状態。応答に一貫性を意識しつつ、40分近く経った頃そろそろ終わりかな・・・と思ったところで、今度は口頭テスト。論理力を探るようなテストで、これは実際業務内容に近い内容。プログラミングに必要な要件を洗うような内容でその場でその力があるかどうかを調べるようなものだった。とりあえず全問正解してクリア。うーん、割りと大変な面接だな、そんな印象のうち終了に。

 

 

感触は悪くはなかったが、気になったことが一つ。

通常どんな会社でも退室の見送りのタイミングでの相手の応対は丁重な感じだと思うのだが、ここはさっさといなくなってしまっていた。振り返ったらすでにドアが閉まっていた、というか閉められていたという印象だったのだ。

 

 

厳しいかもな、と帰り道思った。

 

 

案の定、遅くとも一週間内に連絡します、とのことだったが連絡が来たのはちょうど一週間後で、いわゆるお祈りメールであった。

 

撃沈である。

 

 

まあ、きっと私よりスキルを持ってた人が受かったんだろうなと思っている。スキルアピールはできる限りですべきだという反省を得た。

 

 

あと新規開拓予定は一社。

 

 

つづく。

 

 

 

怒涛の派遣会社廻り④

「恐れ入ります、◯時から面談予約を入れております只野と申します。もしよろしければなんですが、予定より早く伺えそうなんですがご都合の方はいかがでしょうか?」

 

二社目のRが早めに終わったので三社目Pに連絡を入れてみた。

 

Pは派遣大手、もしかしたら世間的には一番知名度の高い会社かもしれない。昔からPのことは知っていたが一度も登録したことがなかった。昔、私はイベントの仕事や営業の仕事で派遣に登録していたので、事務系派遣が大半の案件であるPは割りと縁の薄い会社だったのが一番の理由だと思う。

 

早めに来てもらっても対応できるとのことだったので、予定より30分早くPの新宿支店に足を運んだ。

 

 

 

 

夕方、少しオフィスに影がさしかかる時間頃、私はPのブースに座っていた。

ほどなくして妙齢の落ち着いた感じの美人の女性コーディネーターが現れた。

「よろしくお願いいたします。」

 

双方丁重におじぎをし、席に座る。席についたと同時に、私はあいさつがてらこう言ってみた。

 

「多少キツめの仕事でもかまいません。キャリアアップを図れるような仕事を紹介してください。」

 

どちらかといえば意気込み的な意味合いだった。

 

 

ところが女性コーディネーターは落ち着いた口調でこう言った。

 

「弊社の場合はキャリアアップというよりは・・・今お持ちのスキルをできるだけ生かせるようなお仕事をご紹介する方針なんです。」

 

正論である。このコーディネーターのおっしゃるとおりだ。ただ、今まで今後の抱負や前向きな姿勢をアピールする的な発言をした時にこうやって正面切って正論を言われた経験がほとんどなく、なんとなく出鼻をくじかれた感じがした(苦笑)。ペースが狂う。

 

まあでも、その通りだよなと思い直し、面談のやり取りに集中することにした。

 

簡単にプロフィールを確認、事前登録した情報に相違がないか、身分証の確認、他の派遣会社では経験しなかった、総じて「お堅い」手続きがつづく。Pってこんな感じなんだな。

途中タイピングテストを挟み(タイピング力は想像以上だったらしく、かなり褒められた)、キャリアの確認が詳細に行われた。先方はヒアリングしながら、クライアント提出用に書き直しをしているようだ。

 

長い時間かけて(小1時間くらいか)ヒアリングが終わり、希望職種についていくつか訊かれる。正直に答えたところ、先方はうーんという表情に。私にしっくり当てはまるような仕事がないのだろうか、話を訊く限りやはり女性向け案件が多いらしい。提示された案件の二、三もどうもピンと来ないやつである。

 

私はそこでこう言った。

「年齢的にも厳しいのは重々承知です。でも全力で働きたいんです。よろしくお願いします!」

 

これは冒頭のアピール的な気持ちではなく、心からの本心だった。今のところしっくり来る案件に遭遇していない。大手だろ?こちらはそれなりに厳しい経験をしてきたし、使えないわけではないと思うんだ、応募するところさえもないとは言わせないぞという気持ちだった。

 

それが功を奏したのか、彼女は、わかりました、今ここに出した以外で当たってみますとしっかり私を見つめて言った。

 

 

 

 

当日の面談でのやり取りは以上だったが、翌日に連絡があり、是非一度受けてみてほしい募集案件があるとのこと。条件や詳細を聞いて、うーん、特別良いわけではないけど悪くはないなという印象の案件で、いくつかのやり取りの後翌週にクライアントの会社見学(実質の面接。事前面接は派遣会社とクライアント企業の間では表向き禁止されている)のスケジューリングを組むことに。社内選考は通った形なんだなと理解した。久々の面接になる。

 

 

とりあえず今日はこれで終わり。明日も一件会社訪問が控えている。

 

一日三社周り、若干疲れたがとりあえず行けるだけは行ったぞ、と少しの達成感のもとゆっくり休むことに。精をつけるためにもと思い、帰り道スーパーでうなぎを買って食べた。

 

 

 

 

明日も頑張ろう。

 

 

つづく。