難破船の甲板でオレは寝言を言う

一回目の人生は強制終了させました。もう40代後半にも入ろうとしてるのに。

あなたは最初に名乗る理由を考えたことがあるだろうか? -セールス、テレアポ、新規開拓の本質その3-

 

前回のエントリー「セールス、テレアポ、新規開拓の本質その2」では、トップ営業マンになるために必要な要素、特にデリバリー(自分がお客さんへ意思を伝える)の部分、

 

②「自分を客観的に見つめ、知ること」

③「一番大事なことを最初に伝える」

 

の②の部分、「俯瞰」の重要性とそのための具体的なアクション「自分の声・姿を録音録画する」こと、それに基づき自己プロデュースをすることの面白さと、その有効性について書いた。ここまでが前回の要約である。

 

 

さて、今回もデリバリー「伝える」の部分、その基本的な考え方と方法論について書く。ちなみに、以下に書くこと(以前もそうだが)はすべて「こうした方がいい」という理想論ではなく、私自身が実践してきた実践論であることを理解していただきたく思う。なぜなら若干ではあるが、ビジネスの常識から外れる部分があるからである。

 

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一刻も早く本題から読みたい!という方はこのリンクをクリック(当エントリーの本題にジャンプします)。

 

 

まず、想像してほしい。

 

ダイレクトセールス、テレアポでも直接訪問販売でも法人の新規開拓セールスでもいい、お客さんとなるであろう人、担当者、決裁者がどういう状態でいるのか。

 

 

はっきり言うと、あなたは「招かざる客」である。

 

 

アポは取っていない(今取ろうとしているアクションはアポを取るための行動である)、何者かわからない、どこの馬の骨かわからない人間が不躾にアプローチを図り、担当者の予定外の時間を奪う行為を、しようとしているのである。これからのあなたは。

 

お客さんとなる人、担当者の中にはヒマな人もいるだろうが、大抵の人は忙しい。少なくとも見知らぬあなたの話を聞きたがるほど時間があり余っている人はほぼ皆無だろう。

 

しかもだ。あなたのような輩は一日に何人も訪れる、アプローチを図ってくるのだ。電話、訪問合わせると10件以上という担当者も会社だと全然珍しくない。以前よりは減ったものの一般家庭でも携帯に見知らぬ番号から電話がかかってくる時はままある(最近は投資用マンション営業が多いだろうか)。

 

そういうアプローチを受けている人はどんな心境だろうか?

 

「あぁ・・・またか。。」

 

そう思っても不思議はないだろう。ウザイ、目障りだ、オレの時間を邪魔するな、こっちは忙しいんだ。

 

↑ ↑ ↑

こういう人に対してのアプローチ方法の話である。

これはダイレクトセールスの基本命題と言ってもよいだろう。100人の新人営業マンがいたら、98人が心折れてセールスマンを辞める理由である。

 

大抵の営業会社の先輩セールスマン達は言う。

 

「よくあることだよ、すぐ慣れるから。」

「断られてからが本番だから。」

「とりあえず当たって砕けろ。話はそこからだから。」

 

ちょっと気の利いた先輩だったら、こう言うだろう。

「断られてもさ、それは君のことが嫌いだからじゃないんだよ、商品が必要ないからだよ。仕事だから気にする必要ないよ。」

 

これらの言葉は間違いではない。すぐに断られることには慣れる(なにも感じなくなると言った方が正しい)し、断られてからが本番だし、まずはアプローチしないと売れない。興味持てそうな商品だったら無下に断らないかもしれない。

 

ただ、これら精神論(あえて精神論と言わせてもらう)だけで攻めていくだけだと、成約の確率はしっかり考えてアプローチした場合(私が後に述べる方法論を使った場合)と比べて、ざっと4分の1ぐらいに落ちるだろう。しかも残り4分の3の中に買ってくれる人、話を聞いてくれる人が絶対にまぎれている、つまり取り逃しをするだろう。

 

 

私は実はその昔、今回のエントリーで話す方法論を使わず、フラットな精神状態で基本トークだけで何軒アプローチすれば(つまり普通の営業マンと同じ状態ですね)どれぐらいの確率で話を聞いてくれる人に当たるか、試したことがある。結果は以下の通りだ。

 

話を素直に聞いてくれる人(聞いてくれるだけの人)は、40人に1人

クロージングまでできるかどうかという人(買ってくれるかどうか迷う人)は、80人に1人

 

従来のダイレクトセールスは、これら話を聞いてくれる人、買ってくれる人を探す行為と定義できる。数打てば当たる、そういう人をひたすらサーチする。

 

この定義は今でも間違ってるとは言わない。実際の本質はそこだと私も思う。

 

だが、一つ言いたいのは、その確率は今から書く方法論を実践すれば段違いに上がる。成約のチャンスは倍増する、と。

 

 

前置きが長くまどろっこしくなってしまった。それぐらい皆ここで躓くのだ。

 

 

さっそく本題に入ろう。

 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

 

あなたがアプローチしようとするその瞬間、先方(お客さんとなる人、担当者、決裁者)はあなたから電話がかかってくること、訪れることを全く知らない状態だ。しかも、大抵は何かしら忙しい。

 

そんな時に現れるお客さんでない「招かざる客」、それがあなただ。しかも、なにかしら売り込んでこようとしてるように思える、こちらが話を聞きたいと言って呼んだわけではないのに。

 

 

そんな状態の先方に、何を話すのか、どうやって話を切り出せば良いのか。

 

そのエッセンスが、③「一番大事なことを最初に伝える」である。

 

 

これも一般的に良く言われることだ。何を言い古されたことを・・・とお思いの方もいるだろう。それを意識して頑張ってる人もいるかもしれない。

だがそれでもきっと、一番大事なことを最初に伝えてないはずだ。

 

見てみよう、以下が一般的なトークスクリプト(台本)だ。

 

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トークスクリプトサンプル 新規獲得編|テレアポ代行・テレマーケティング業務及びコールセンター業務



 出典;

トークスクリプトサンプル 新規獲得編|業界最安値のテレアポ代行、テレマーケティングサービス<コーキ株式会社>

 

このスクリプトテレアポ代行会社のもの(google1位でヒットした)、要はプロのトークスクリプトである。

 

はっきり言うと、この通りに電話をかけると100件かけてせいぜいアポが取れるのが1.2件、それも担当者の暇つぶしで呼ばれるぐらいだと思う(実際、決裁者ではない担当者アポの場合、仕事をサボりたくて営業マンを呼ぶケースは少なからずある。当然成約どころか商談にさえならない)。

 

世の中のテレアポセールストークを解説する書籍やサイトの大半がこれなのである。

 

 

Amazonテレアポで検索するとよく出てくる、「テレアポ魔法の絶対法則」を謳う吉野真由美さんという有名なおばちゃん社長のトークスクリプトも、多少工夫はあるものの大差ない。最初の挨拶の社名の前に「◯◯で業界ナンバー1の△△株式会社の私、××と申します!(高く力強い声色で)」をつけるぐらいのもの(余談だが、私がこういう名乗りの電話を受ける立場なら、「あ、テレアポやん」と思ってすぐ切る。吉野さんは実際売ることに長けてる人だとは思うが、それは押しが強いからだと思う。魔法でもなんでもない)。

 

 

こんな感じらしい。 (話者はモデル、開始地点の3:00のところだけ見ればよいです)

 

 

ここであなたにも問いたい。

 

「なぜ、自己紹介・挨拶から入るのだろうか?」

 

と。

 

 

ビジネス慣習、人間関係の常識、そんなところだろうか。いきなり電話がかかってきても誰?と自分自身思うからだろうか。

 

それは人として間違ってるとは私も思わない。

 

ただ、実際圧倒的な結果を出すためには、

 

③「一番大事なことを最初に伝える」

 

から入らなければならない。自己紹介・挨拶が一番大事だろうか。あくまで挨拶は潤滑油にすぎないだろう。伝えるべき用件は何だ?

 

 

それは・・・

「(こちらが提供できる)相手が受ける便益」であり、

「要点中の要点(もちかけたい商談内容のダイジェスト)」だ。

 

ここを突破しなければ、その先はないのだ。これ以外をいくら話しても「ごちゃごちゃうるさい奴だ」と思われて ( ^o^)Г☎チンッ なのである。

 

 

 

私が今回伝えるメソッドは以下の通りである。気になってる方はよく読んでいただきたい。(今回はテレアポを例に解説する)

 

 

セールスは最初の10秒で決まる。もっと正確に言うと5秒だ。

 

 

 

勝負は最初の5秒。そして10秒。

この5秒もしくは10秒に持ってる力の8割をそそぐのだ。

挨拶や自己紹介などは、相手が興味をもってくれてからで十分間に合う。

 

 

これから細かく解説する。

 

最初の5秒でやらなくてはならないこと、それはチューニングである。

 

相手の待つ準備がない状態、こういう電話でのファーストコンタクトの場面での相手の状態は「直前の行動の余韻を引っ張ってる状態」かせいぜい「無の状態」である。なので、いきなり知らない人からの電話の内容のほとんどは耳に入っていないと思った方が良い。はい、はい、と相手は声を出していても、全く聞こえてないケースも多々ある。

 

なので私は、冒頭伝えたい用件の頭に一言だけ潤滑油的な枕詞を入れる。

 

「恐れ入ります」

 

だ(それでちょっと間が悪ければ、「◯◯株式会社の△△と申しまして・・」ぐらいは入れても良い、1秒で話せる量だ)。これを少し本題より小さめの落ち着いた声で相手の耳の注意を引くと同時に、こちらのテンションに引っ張り合わせるようなイメージで(テレアポトーク全般に言えることだが、綱引きでジリジリ引っ張るような感じで進めるのだ。相手のテンションとの接点を掴んだままこちらのペースで話を進めるイメージである)。引っ張るのはあなたである。

 

これはテレアポではない、本番の商談なんだ、というマインドセットで私は毎回第一声を挑んでいた。

 

そして、早速「要点中の要点(もちかけたい商談内容のダイジェスト)」に繋いでいく。要点中の要点(当トークでいうところのヘッダーである)は言葉はっきりゆっくりとわかりやすく発音し、相手に落とし込むようなイメージで伝える。

 

例;「恐れ入ります、、、(0コンマ何秒の間をつくる)御社の◯◯のサービス内容である△△を弊社の提供している●●を使って・・・」

 

第一声の「恐れ入ります」からヘッダーの全文までで5秒から10秒である。

 

 

ここで2つ大事なことを書く。

 

まず一つ目は、前回のエントリーでやったことがここで活きる、ここで生かすということ。

 

自分のどれぐらいの声色や音量やスピードが相手に響きやすいか、何度もトライ・アンド・エラーを繰り返してほしい。相手の息づかいを通して「聞こえてるかどうか」を測るのだ(ちなみに熟練してくると、この最初の5秒の息遣いでアポが成立するかどうかたびたびわかるようになってくる)。

 

相手を落ち着かせ、「ん?なんだこの電話は?」と耳をダンボにさせ、「もうちょっと聞いてみようかな」まで興味を引きつけること。それを可能にするのは、この「最高の(と思われる)自分のプレゼンの声色・ペース」と、

 

大事なこと二つ目である、「練りに練ったヘッダー」である。

 

要点中の要点=ヘッダーは魅力的に思われるようなオファー(提案)になっていないといけない。それを10秒以内にまとめるのだ。かつ、わかりやすくなくてはならない。専門用語や業界用語はもってのほか、漢字や熟語もほとんど不要なぐらいに、小学生が聞いてもわかるぐらいに。

 

もちろん、あなたの商談内容、商材の内容を10秒で小学生にもわかるように説明し切るのは無理だろう。だが、あえてそれにチャレンジするのだ。

 

これを可能にするにはトークスクリプトを一旦全部書き出すところから始める。そして削りに削って一文のオファーとしてまとめるのだ。少し根気と集中力が要る(スクリプトの具体的な作り方と活用の仕方は次回のエントリーで書こうと思う)作業であるが絶対に必要な作業である。

 

 

要は「なにをどう伝えるか」を最高に研ぎ澄ませた形で作り上げ、それを最初の10秒間で相手に伝えるのだ。相手は興味をもったら自然と名前を訊いてくるだろう、名乗るのはその時で十分間に合う。

 

 

 

この10秒間の課題の到達点は、「詳しい説明をさせていただく1分間」を相手からもらうこと。10秒間で「ん?なんだこの話は・・・もうちょっと聞いてみたいな」と思わせることに成功したら(内容は理解されていなくても。ちなみにほとんどのケース、この時点では内容は3割も理解されていないものだ)、次の1分間のチャンスはもらえる。

 

 

 

実は、これら最高の10秒のオファーを提供していなくても1分間話すぐらいのチャンスはたいていもらえる。ただ、オファーに魅力ない状態で聞かせる1分間は密度の薄い1分間で、相手からすればただの「聞いてやってる」1分間である。これでたとえ話が進んでアポが取れたとしても、その主導権は(意識の上では)相手にある。

 

 セールス全般に言えること、ダイレクトセールスだとなおさらだが、主導権が相手にある間はまず成約しない。お願いアポ、お願いセールスでは決して売れない。「お願い」という言葉を出さなくても、そういう気持ちがなくても、結果的に主導権が相手にある間は「お願い」と同じ、力関係は相手の方が強いわけで注文キャンセルになったりクレームが絶えなかったり、非常にコスパの悪い取引になる。

 

また、これは人によってやり始めてからぶち当たる壁だが、「何10件、100件200件かけてるけどなかなか反応が取れない、アポにならない、アポは取れるがその後のクロージングで成約しない。どうすればよいのか」という悩みも、根っこは同じだ。

 

要は相手から「大事な商談と思われなかったから」である。これも主導権の所在の話である。情報だけ抜き取られる、いわゆる「情報収集アポ」(相手から見た情報収集)という扱いを受けてしまう。相手から質問を受けるだけ受けてこちらが丁寧に答えたところで、主導権・決定権が相手にあるから成約しないのである。

 

さらに言えば、事の重要性が伝わらなければ聞いてくれる人の割合が減るわけで、テレアポだったらただ惰性で電話をかけているだけのテリ潰し(テリトリー潰しのこと。商談できるかもしれなかった人の可能性も無駄に摘んでしまうこと)になるし、アポが取れてもクロージングの場面で主導権が相手にあることが判明したら、営業マンの無駄足になるだろう。

 

解決策は2つだ。その2つこそ、今回のエントリーで書いたことである。

 

つまり、

 

  • テレアポではない、これは大事な商談なんだ)という初動のマインドセットとそれを効果的に伝える話法を以って、重要な話であるという雰囲気を相手に伝えきること。
  • もう一つは、トークスクリプトのオファーの力を上げること。

 

ちなみに、どちらが大事かというと前者、マインドセットと話法だ。

 

大抵うまくいかない時は内容(つまりこの場合で言うとトークスクリプト)が良くないのだと思いこむ人は多いが、実際人間というものは話してる内容よりも、話し方とか雰囲気を重視していることを忘れてはならない。メラビアンの法則である。

 

 

 

 

 

 

いかがだっただろうか。

 

 

もちろん、全力でこれらを実行するのは疲れる(ラクな方法とは今まで一言も言っていない)し、百発百中のテクニックではない。ターゲット無差別のセールス(リストを割り振られるようなやり方や、飛び込み型の営業)であれば、断られることの方が多い(ターゲットを絞り込む形のマーケティング型のインサイドセールスならば断られる数はかなり少なくなると思う)。

 

ただ、必ず努力が報われるはずだ、少なくとも他人の数倍(おおよそ4倍、10件に1件ぐらいのアポ率)は効率良く、数多く内容も良いアポが取れるし、どこに行ってもおそらくトップかトップクラスになれると思う。

 

 

 

 

次回はトークスクリプトの作り方のエッセンスについて書こうと思う。